電力会社の訪問詐欺に注意!検針票を見せてしまった?

電力自由化で新規参入した会社の中には、かなり積極的な訪問営業を行なっている会社もあるのだとか。

中には大手電力会社の名前を使った詐欺や「東京電力の代理店」などとウソを言って安心させて、電力の契約をさせようとする悪質と言える手口も実在します。

ここでは、実際に行われた電力会社の悪質訪問の手口、訪問があった時の対応、訪問トラブルに巻き込まれてしまった場合の対処方法を解説します。


もくじ

電力会社関連の訪問詐欺の実例

まずは実際に電力自由化関連の悪質な訪問で困ってしまった人の実例を見ていきましょう。

夜間に「検針票をもってきてほしい」と言われた

夜8時ごろ、東京電力を名乗る人が家に来ました。
経費削減のために電力メーターをスマートメーターに変えることと、それにより電気代が安くなると言われ、説明をするから検針票を持ってくるように言われました。

詐欺かわからなかったので検針票が無いと言うと、来月の検針票発行の頃にまた来ますと言われました。
電力会社が検針票を見せてほしいと言うことってあるのでしょうか・・・?

<参考> Yahoo!知恵袋

東京電力が夜8時に営業をするとは考えられませんし、検針票を見せてと言うこともありません。

そもそも電力メーターをスマートメーターに変えることによって直接的に電気代が安くなることもありません。

検針票を見せなかったとはとても良い判断だと思います。

大手電力会社になりすました詐欺

大手電力会社の名前で自宅に訪問がありました。
電力メーターも新しくなって電気代がすぐにわかるようになると言われたので契約書にサインしたが、契約先は全く別の電力会社だった。

<参考>あなたの知らない危険な手口~ひょうご消費者トラブル情報vol.36~

大手電力会社を名乗って別の会社の契約をさせたということなので、明らかな詐欺ですね。
この詐欺にあってしまったのは70代男性です。高齢者を狙った悪質なやり方です。

「検針票を見せて欲しい」「電気代が安くなる」と言われて

自宅に大手電力会社の代理店を名乗る男性が突然来て、「検針票を見せて欲しい」「電気代が安くなる」などと言ってきた。
理解しないまま申込書に署名してしまったので解約したい。

<参考>国民生活センター「検針票は見せないで 電気の契約切り替えトラブル」

理解しないまま申し込みをしてしまったというところに疑問がある方もいらっしゃるかもしれませんが、この詐欺にあったのは70代の方です。

大手電力会社を名乗る訪問に対して、最初から疑ってかかれと言っても難しいこともあるでしょう。

幸い、この男性は地域の民生委員に相談をしています。信頼できる誰かに相談するというのは非常に大切なことです。

契約する電力会社がマンション全体で変わると言われた

入居して間もない賃貸マンションで、突然訪問してきた男性に「契約している電力会社がマンション全体で当社に変わります」と言われ、氏名、電話番号、生年月日を書かされました。検針票も見せるように言われたので見せてしまいました。
契約先を勝手に変えられないか不安ですが、書面や名刺を受け取っていないので連絡先もわかりません。

<参考>国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ】電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル」

こういった詐欺に引っかかるのは高齢者が多いというイメージがあるかもしれませんが、この事例で被害にあっているのは10代の女性です。
若い方も他人事ではないという事例ですね。

大手電力会社の委託は本当?

「契約している大手電力会社の委託を受けて来ました」との訪問がありました。
電気代が安くなるから検針票を見せて欲しいと言われて、見せてしまいました。
何か記録して帰ったようですが書類などは受け取っていません。このままで大丈夫でしょうか?

<参考>国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ】電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル」

こちらも10代の方が国民生活センターに寄せた相談です。
2021年4月の相談ということで、ひとり暮らしで転居したばかりのタイミングを狙った悪質なやり口だと思われます。

電話による勧誘も多い!

こちらは訪問ではありませんが、自宅に電話をかけてきて電力会社の切り替えを強要された事例です。

電力会社の切り替えをしないかと電話で勧誘があります。
断っているのに、「安くなることがわからないのか」と横柄な口調で何度も電話がかかってくる。

<参考>あなたの知らない危険な手口~ひょうご消費者トラブル情報vol.36~

これはどう考えても詐欺ですね。
電話番号を知られているため何度もかかってきてしまうのが厄介ですが、脅しのようなことも口にしているので警察に相談しても良いくらい悪質です。

業者から「電気の契約の見直しを行うと電気料金が10%お得になるので、検針票の情報を教えてほしい」と電話がありました。
教えてしまったところ、いつの間にか電気の契約が切り替わっていました。

<参考>神奈川県「かながわくらしテキスト」

確かに地域電力会社から新電力にすると電気代金が安くなることはよくありますが、10%も安くなることを保証している電力会社があるとは考えられません。

いつの間にか電気の契約が切り替わってしまっていたということで、契約に必要な情報を聞き出すための手口だったのでしょう。

電力会社の訪問があったらどう対処すればいい?

実際にあった電力会社の訪問トラブルを確認してみると、新電力会社が強引に契約させようとするケースと、大手電力会社の名を語って別の電力会社と契約させようとする詐欺のようなケースがあることがわかります。

どちらも良いやり方ではありませんので、どれだけ「電気代が安くなる」と言われてもその場で契約をすることだけは避けましょう。

応対せずに帰ってもらう

訪問の手口に対する対処方法として「相手の身分証明書を確認しましょう」「社員証を見せてもらいましょう」などと書かれていることが多いのですが、これって本当に騙されない対策になるのでしょうか?

自分のこととして考えてみると、突然の訪問営業は応対するのもイヤというのが本音です。

もし悪質業者であればニセの社員証くらい用意していることも考えられますし、その社員証が本物という確認はどうするのでしょうか。

社員証に記載されている会社に電話をすれば証明されるかもしれませんが、見知らぬ相手の話をそこまでして聞きたいでしょうか?

現代は知らない電話番号からの着信には出ない方が良いという考え方もあります。

同じように見ず知らずの人の訪問営業には耳を傾けなくても良いんじゃないかなと思います。

「電気代が安くなります」と言われると「もしかしてお得になるかも?」と飛びつきたくなりますし、人が良い親切な人ほど「バッサリ断るのも相手に申し訳ない」と思われるかもしれませんが、詐欺被害から自分を守るためだと思ってこういった対応策があることもぜひ覚えておいて下さい。

検針票は絶対に見せてはいけません

電力会社の切り替えに関する悪質な手口であれば、必ず「検針票を見せて下さい」と言ってくるはずです。

これはなぜかというと、検針票には契約者の氏名、契約内容、お客様番号(供給地点番号)が書かれているから。

電気の契約切り替えには本人確認が不要で、これらの内容に加えて住所と電話番号がわかれば、本人以外でも電力会社切り替えの申し込みができてしまうのです。

実際、電力自由化に関連した詐欺で逮捕された手口では、利用者の許可を取らずに検針票に記載された情報から勝手に電気の契約を切り替えていたこともわかっています。

知らない相手に簡単に個人情報を渡してはいけません。
訪問営業には検針表も個人情報も見せないようにしましょう。

電気代のシミュレーションは信用しないで

本物の新電力会社の訪問の場合、電気代が安くなるということを証明するために「うちに切り替えるとこれだけ安くなるんですよ」とシミュレーションを見せられることもあるようです。

しかし、そのシミュレーションが適正かどうかはわかりかねます。

正確な金額を出すには自分の実際の電力使用量でシミュレーションしてみるのがいちばんです。

これは自分自身で簡単にできることなので、訪問営業の言葉を鵜呑みにしないで、ぜひ自分でやってみて下さい。

絶対にその場で契約をしない

相手が本当の電力会社の営業担当者だとしたら、その場で契約をしてもらうためにメリットを強調したプランを提案してくるでしょう。

ここでハッキリとお伝えしておきますが、「新電力=必ず安くなる」ということはありません。
自分の電力使用量や暮らしにあったプランを選べば安くなりますが、必ず安くなるという保証はなく、逆に今よりも高くなってしまうこともあります。

また、これもよくある手口なのですが、聞いていた内容と違うことに気がついて解約しようとすると、口頭で説明されていなかった手数料や解約時の違約金がかかることもあります。

この点を業者に伝えても「契約書には書いてあります」の一点ばりでお金を払わせようとすることもあります。

契約に関する大切なところは自分や家族で確認して判断しなければいけません。
話を聞いてしまった場合でも、その場で契約することだけは避けましょう。

電話勧誘や訪問で電力会社と契約してしまったらどうすればいい?

電話勧誘や訪問で望まない契約をしてしまった場合は、すぐにクーリングオフの手続きをすることをおすすめします。

クーリングオフとは?

クーリングオフは、電話勧誘や訪問販売などで結んだ契約を無条件で破棄できる手続きです。

破棄できる期間は「契約書面を受け取った日から8日間」になりますので、8日以内に手続きを行う必要があります。

クーリングオフのやり方は2つあります。

はがきでクーリングオフ

相手の会社あてにクーリングオフする旨を記載したハガキを出します。
この時、「特定記録郵便」または「簡易書留」などの追跡ができる形にしておくと安心です。
ハガキの書き方は国民生活センターの情報をご確認ください。

<参考>国民生活センター「クーリング・オフ」

インターネットでクーリングオフ

契約書面を確認するとウェブサイトにクーリングオフの申し込みフォームがあったり、メールで手続きができると記載されていることもあります。

この場合は、案内に従ってインターネットでクーリングオフしても大丈夫です。
念の為、送信画面のスクリーンショットを撮っておきましょう。

相談窓口に問い合わせる

勧誘のやり方があまりにも悪質であったり、承諾していないのに勝手に契約が結ばれていたような場合は、然るべき相談窓口に連絡しましょう。

消費者ホットライン:188
「188」に電話をかけると、地方公共団体が運営している消費生活相談センターや消費生活相談窓口を案内してもらえますので、困っていることを伝えましょう。
対応の仕方を教えてもらえます。

経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口:03-3501-5725
ガス・電気の契約に関するトラブルの相談、事業者の法令違反の相談などを受け付けています。

検針票は見せないで!契約もしないで!

当サイトをご覧になっている方は悪質な勧誘に引っかかってしまうようなことはないかと思いますが、離れて暮らしているご家族、おじいちゃんおばあちゃんの自宅にはいつ訪問営業があるかわかりません。

「こんな詐欺があるらしいから気をつけてね」と、ぜひ注意喚起してあげて下さいね。

きちんとした電力会社が検針票の提示を求めたり、個人の電気の契約内容を聞き出すようなことはまずありません。

検針票には大切な個人情報が書かれていますので、すぐに見せることは避けましょう。

なお、電気だけでなくガスも同じような訪問トラブルがあるようですので合わせてご注意下さいね。

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