新電力は停電しやすい?災害時にやばい?
電力自由化によって新電力会社に切り替えを考えているけど、
・新電力会社に切り替えて停電が増えたりしないの?
・災害時の復旧作業が遅れたりしないの?
と、不安に思っている方も多いかと思いますので、詳しく解説します。
新電力の電気は安定してる?停電が増えたりしない?
これについては結論から申し上げますと、地域電力会社から新電力に切り替えることで、電力が不安定になったり停電が増えることは決してありません。
電気は私たちが生きていくための大切なインフラ設備なので、契約している会社によって良し悪しがあってはいけません。
そのため法律で利用者を守るための仕組みがあらかじめ決まっているのです。
新電力会社と契約している世帯だけが停電することはない
電力自由化によって誰もが自由に電力事業に参加できるようになり、私たちも自由に電力会社を選べるようになりました。
自分の家と隣の家が契約している電力会社が違うということも当たり前になっています。
これによって、「地域電力会社と契約しているお隣には電気がついてるのに、新電力を利用しているうちだけ停電するようなことはないの?」と不安に感じる人もいらっしゃいますが、これは絶対にありません。
新電力会社が行なっているのでは「電力の小売り」です。電気という商品を売っているお店というだけなので、発電された電気を各家庭に届ける「送電」は行なっていません。
送電は東京電力などの地域電力会社がこれまで通り行うことになっているので、どの電力会社から電気を購入しても送電に影響することはないのです。
新電力会社が倒産したら電気は止まるの?
新電力会社が倒産したり電力事業をやめてしまうケースはこれまでにも実際にありました。
事業者側の都合で電気の供給が止まってしまうととても困ってしまいますが、新電力会社の倒産によって電気が止まることはありません。
この点については法律によって電気が止められるようなことがないように決まっていますので安心してください。
新電力会社が倒産した後の流れを簡単にご紹介します。
期限内に他社に切り替える場合
東京電力から新電力会社に乗り換えた後に、新電力会社が電力事業を停止するとします。
新電力会社から利用者宛てに電力事業を辞めることの通知があり、そこに「他社に契約変更(スイッチング)する場合は◯月◯日までにお手続きをお願いします」などと案内があります。
スイッチングとは別の電力会社に契約を切り替えること。スイッチングの方法は新たな新電力会社に申し込みをするだけで完了します。(解約手続きは不要)
ここ最近では東京電力のグループのTRENDE株式会社が提供する「あしたでんき」が2022年6月30日をもって電力供給を停止することが決まっています。
あしたでんきでは、供給停止予定日の約1ヶ月前となる2022年5月26日をスイッチング申込期限の目安としました。
期限までに別の電力会社に申し込みをすれば、最もスムーズに電力会社の切り替えができます。
スイッチングできなかった場合
期限までにスイッチングすることができなくなくて契約が終了してしまったとしても、突然電気が止まることはありません。
ここから先は「無契約期間」となり、どの電力会社とも契約を結んでいない状態になりますが、送電が停止されることはないのです。
新電力会社が送電できなくなった場合には地域電力会社が送電するバックアップシステムがあるので、無契約期間でも送電が止まることは決してありません。
ただし、無契約期間が長く続いてしまうとさすがに電力供給が停止されることになるので、なるべく早く電力会社を探して契約をするか、地域電力会社に戻る(改めて契約をする)ことになります。
繰り返しになりますが契約している新電力会社が倒産してしまうような時でも、電気がピタッと止まることはありません。
新たな電力会社を探すという手間はかかりますが、消費者にはリスクがないように整備されているのです。
ここまでは新電力会社の電気の安定性について見てきましたが、次は災害時の対応について考えてみましょう。
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新電力の災害時の対応について
毎年やってくる台風や突然の地震など、何がきっかけで大規模な停電が起きてしまうかわからないものです。
新電力を使っている世帯とそうでない世帯で、復旧にかかる時間が異なってしまうことはあるのでしょうか?
災害からの復旧のスピードは同じです
災害によって起こる停電のほとんどは「送電網」のトラブルによるものです。
送電網は「変電所」、「配電線」、「送電線」などの発電された電気を消費するところまで運ぶ施設の総称です。
災害によって送電網にトラブルがあり復旧作業が行われる場合、新電力でも地域電力会社でも復旧にかかるスピードは変わりません。
なぜならば、電気の契約は新電力会社と結んでいても、実際に送電しているのは新電力会社ではなく地域電力会社などの一般送電事業者だから。
復旧作業を行うのも新電力会社ではなく一般送電事業者なのです。
私たちが支払う電気料金の中には、この一般送電事業者の送電網の利用料が含まれているので、今までと変わらない復旧対応を行なってもらえるのです。
なお、一般送電事業者は特定の電力会社を優先して復旧させるというような差別をしてはいけないことになってますので、逆に地域電力会社と契約を続けているからといって復旧が早くなることもありません。
発電所が被災したら?
発電所がある地域が被災してしまったら、平常時のような電力供給はできなくなってしまいます。
発電所の被災は誰にも防ぐことができませんので、災害に備え、いかに早く復旧させるかが大切になります。
この鍵を握るのが2015年4月に設立された「電力広域的運営推進機関」です。
東日本大震災ではご存知のとおり東京電力の発電所が被災しました。東京電力エリアの電力供給が大幅に足りなくなってしまい、想定される必要量の4分の1(1,000万kW)もの電力が足りなくなってしまったのです。
これにより行われたのが計画停電で、2011年3月に10日間の計画停電が実施されることとなったわけです。
しかし、東京電力エリア以外の地域では電力の供給は十分に備わっている状態で、電力量だけで見ると東京電力エリアに送電することもできたわけです。
にもかかわらず、なぜ東京電力エリアに送電できなかったのかというと、ネックとなったのはエリアとエリアをつなぐための送電インフラ制約でした。
当時は他のエリア同士で電力を融通し合うことができず、自分の地域の電力は自分の地域で賄いましょうというシステムだったのです。災害によって、このシステムの問題が明るみになったわけですね。
この状況を打破すべく設立されたのが電力広域的運営推進機関です。
電力広域的運営推進機関の役目は、平常時も災害時も円滑に電力会社間での電力の融通が行われること、設備の整備推進など、地域ではなく全国規模で電力ネットワークを運用する司令塔のようなものになります。
万が一発電所が被災するようなことがあっても、全国規模でエリアを越えた送電が可能となったので、より迅速な復旧に期待できるのです。
電力自由化は災害時のメリットもある
電力を供給するシステムは「発電」「送配電」「小売」に分かれているのですが、電力自由化で自由に参加できるようになったのは「発電」と「小売」の部分です。
新電力会社のほとんどは自社で発電所を持っておらず小売だけを行なっています。
これには莫大な運用資金が必要な発電所を抱えていないからこそ電気料金を安くできるというメリットもあるのですが、中には小規模の発電所を自前で作ろうとしている新電力会社もあります。
小規模の発電所が増えれば災害時のリスク分散にもなるため、電力自由化はこういったメリットも生んでいるのです。
もちろん、この小規模の自社発電が被災してしまった場合は他の発電所がカバーしてくれます。
どの電力会社と契約しても災害時の復旧は平等に行われることが約束されているので安心してください。
電力自由化は新しい未来を作ります
電力自由化のような新しい制度が始まると、メリットがあることはわかっていてもネガティブなところについ目が行ってしまい一歩を踏み出すことに躊躇してしまうかもしれません。
でも、ありがたいことに日本の電力供給は非常に安定していて、急に電気が消えたりすることはありませんよね。
この送電の仕組みそのものは変わりませんし、災害時のバックアップ制度もきちんと用意されています。
電力会社を選べることは私たちの権利だと思って、ぜひ自分の暮らしに合う新電力会社を見つけて下さいね。