新電力のメリット・デメリットまとめ

電力自由化によって電力サービスを自分で選べることにはメリットがあります。

しかし最大手の電力会社から新サービスに乗り換えるわけなので、不安に感じることもあるのではないでしょうか。

本記事では新電力のメリットとデメリットをわかりやすくまとめています。
新電力がなぜ安いのか、乗り換える際のリスクなどをきちんと理解すれば不安の解消になりますので、ぜひご覧になってみてくださいね。


もくじ

新電力のメリット

新電力会社に乗り換えるいちばんのメリットは、やっぱり電気代金を安くできることでしょう。

電気代金が安くなります

新電力会社が電力事業を成功させるには利用客を増やす必要があり、そのためには低価格を打ち出すことはわかりやすいアピールになります。

そのため新電力会社は地域電力会社よりも安い料金プランを提供していることがほとんどで、自分の生活にあったプランを選べば電気代を安くできます。

「セット割」でガスも安くできます

電力自由化が始まって6年経ちましたが、現在では様々な業界から新たな企業が電力事業に参入してきています。

そのひとつが東京ガス、ニチガスなどのガス会社で、電気とガスをセットで利用すると「セット割」でさらに安くできます。

たとえば東京ガスの新電力会社「東京ガスの電気」の場合、電気とガスをセットにすると毎月の電気料金の基本料金から275円割引になります。

ニチガスの「ニチガスでんき」も毎月300円のセット割引(でガ割)が適用されます。
光熱費をまとめてお安くできるのでセット割もチェックしてみてくださいね。

ポイント還元がある新電力会社も!

新電力会社によってはポイント還元を行なっていることもあります。

例えば「CDエナジーダイレクト」には「カテエネポイント」があり、電気代100円ごとに1ポイント貯まります。

貯まったカテエネポイントは電気料金の支払いに使えるほか、Tポイントやdポイントに移行することもできます。

東急でんき」は東急が発行しているクレジットカード「TOKYU CARD」で支払うと電気料金の1%がポイント還元されます。

電気代がポイントになるのはとてもお得ですね。

ライフスタイルに合わせて電力会社を選べます

新電力会社に求めることは年齢や世帯人数によっても変わります。

「ひとり暮らしで電気はあまり使わないから基本料金がもったいない」
「在宅ワークで光熱費が高くなったから電気とガスをセットで安くしない」
「家族4人でマンション住まいだから電力使用量はなかなか抑えられない」
「一戸建てで家はオール電化。車はEVだから夜間がお得になるオール電化向けプランがいい」

などなど、ご家庭によって本当に様々なんです。

自分に合う新電力会社を選べば無駄がありませんし、新電力会社はこれからも消費者のニーズにあったプランをどんどん出してくるはずですので、ライフスタイルが変わったらまたいつでも乗り換えを検討しましょう。

電気の地産地消ができます

地産地消は地元で生産されたものを地元で消費しようという考え方のこと。
地元の電力会社を利用すれば地元産業の応援になり、無理なく地域に貢献することができます。

電力自由化では遠方の電力会社を利用することもできるので、地元から離れて生活している人でも地元の電力会社と契約することも可能です。

例えば「0円でんき」は北海道を拠点とする株式会社オカモトが運営する新電力サービスですが、東京電力エリア、中部電力エリア、北陸電力エリア、関西電力エリア、中国電力エリア、四国電力エリア、九州電力エリアで利用できます。

環境に優しい電力プランも選べます

電力は私たちの生活に欠かせないものですが、日本では80%以上を化石燃料(石油・天然ガス・石炭)に頼っていて、温室効果ガスとなる二酸化炭素も大量に排出しています。二酸化炭素が地球温暖化の大きな要因になっていることはご存知の通りです。

今や地球環境の維持はひとりひとりが考えなければいけない問題です。

新電力会社では、二酸化炭素排出量を抑えたり太陽光発電や風力発電の普及に力を入れていて、環境に配慮した再生可能エネルギーを開発・利用しているプランもありますので、改めて環境問題を考えてみてはいかがでしょうか。

また、東日本大震災を境に原発に疑問を持ったことで、電力自由化後に再生可能エネルギーを利用している新電力プランに乗り換えた方もいらっしゃいました。

電力の供給に自分の意思を反映できることも新電力のメリットと言えるでしょう。

新電力のデメリット

電力自由化は電気代が安くなったり、自分が希望するサービスを選べるなどのメリットもたくさんありますが、知っておきたいデメリット・リスクも存在します。

電気代が安くならないこともあります

新電力会社は地域電力会社よりも安い電気料金プランを提供してくれていることがほとんどですが、選ぶプランによっては電気代が安くならないこともあります。

例えば、電力使用量があまり多くない人が電気をたくさん使った時に安くなるプランを利用してもお得ではないですよね。

このミスマッチを防ぐためにはご自分の電力使用量をしっかりと把握して、今の自分にあったプランを選ぶことがとても大切です。

新電力会社は自分で選んで見極めることになります

電力自由化が始まるまでは契約できる電力会社は地域電力会社1社のみでしたが、今はエリア内であればあらゆる電力会社と契約可能です。

現在、電力の登録小売電気事業者として国に登録している事業者はなんと743社(2022年5月6日時点)もあるので、この中から自分にぴったりの1社を探すことになります。

たくさんの中から選べるのは嬉しいですが、自分の生活にあった電力会社を探す作業を難しく感じる方もいらっしゃるかと思います。

電力会社のホームページには電気料金のシミュレーションが用意されているので、複数の電力会社としっかり比較して最適な新電力会社を選びましょう。

違約金・解約手数料がかかることもあります

地域電力会社は無料で解約できますが、新電力会社の中には解約する際に違約金が発生したり解約手数料がかかるものもあります。

例えば「ENEOSでんき」の場合、2年間の継続利用を約束する「にねんとく2割(とくとく割)」で、更新月以外のタイミングで解約すると1,100円の解約手数料が発生します。

せっかく電気代金が安くなっても違約金が高いと無駄な出費になってしまいますので、必ず申し込み前に確認してくださいね。

新電力会社は倒産することもあります

新電力会社は一般の民間会社なので倒産のリスクもあります。倒産まではいかなくても電力事業での収益が見込めないとなったら撤退することもあります。

実際、2016年に電力自由化が始まってから2022年の今日に至るまで、すでに撤退してしまった電力会社はたくさんあります。

驚きなのが東京電力ホールディングスのグループ会社であるTRENDE株式会社(2017年8月設立)が2022年6月30日で電力供給を停止し全ての契約を解約するとの発表を行なったことです。

万が一、契約している新電力会社が電力事業を取りやめてもすぐに電気が止まるようなことはありませんが、新たに電力会社を探す必要があります。

アパート・マンションでは乗り換えできないこともあります

アパート、マンション等の集合住宅でも基本的には新電力に乗り換えることができます。

ただし大家さんや管理会社の意向で、建物全体で電力を一括契約していることがあり、この場合は貸借人が個別で新電力会社と契約をすることはできません。

個別契約に切り替えられるかどうかを大家さんや管理会社に確認してみると良いでしょう。

分譲マンションも同様です。マンション全体で一括契約をしている場合は乗り換えができませんので管理組合に確認してみる必要があります。

知っておきたい新電力のポイント

新電力のメリット・デメリットはわかったけど、「そもそも地域電力会社を離れることで電気の質が落ちたりしないの?」など気になることもあると思います。

新電力に関して未だに誤解されていることも多いので、知っておきたい新電力のポイントを3つご紹介ご紹介します。

ポイント1:新電力会社はなぜ電気料金を安くできるの?

新電力会社が電力料金を安く設定している理由を2つ見ていきましょう。

ひとつは顧客を増やすためです。

新電力会社は全国700社以上あることはご紹介した通りです。よほどのメリットがないと今よりも値段が高い電力会社を利用しようとは思わないですよね。

可能な限り価格を抑えないと消費者に自社を選んでもらうことはできないので、宣伝広告を兼ねて電気代を抑えているのです。

もうひとつは発電事業を行なっていないから。

地域電力会社は自社で大規模な発電を行なっているので莫大な設備投資が必要になります。

新電力会社が行なっていることは電力の小売りで、発電・送電はすでに用意してある設備を利用できるので設備投資費も少なくて済むのです。

利用者に負担してもらう電気代も抑えられるため電気代を安く設定できるのです。

ポイント2:電気の「質」は変わりません

地域電力会社から新電力会社に乗り換えることの不安の声としてよく聞くのが、
「停電が増えるのでは?」
「災害時の復旧で地域電力会社と差が出ることはない?」
ということ。

まず、地域電力会社から新電力会社に乗り換えても電力の質が変わることはありません。

なぜかというと新電力会社が行うのはあくまでも電力の販売であり、発電・送電は今まで通り地域電力会社の設備で行うから。

新電力によって新たに電線が引かれることはなく電力の供給の仕組みは今までと同じなので、「地域電力会社を使っている隣の家は電気がついてるのにうちだけ停電してる・・・」となることはありません。

同じように災害などで停電が発生した場合の復旧作業は地域電力会社が行いますので、新電力会社と契約している世帯だけ停電が長引くようなこともありません。

ポイント3:電力会社の乗り換えはとても簡単です

電力会社の乗り換え手続きは面倒に感じられるかもしれませんが実はとても簡単にできます。

ほとんどの電力会社はインターネットから申し込みが可能で、必要項目を入力するだけで申し込みが完了するのです。

申し込みには地域電力会社が発行している検針票に載っている情報が必要になるので用意しておきましょう。

スマートメーターの設置が住んでいる場合はインターネットの会員ページから確認できるので検針票は不要です。

▼検針票で確認して入力する項目
・管轄エリア
・電力事業者
・供給地点特定番号
・お客様番号(契約番号)
・契約電力単位
・契約電力
・契約者名義
など

今契約している地域電力会社の解約手続きは新電力会社が行なってくれるので、自分で解約連絡をする必要もありません。

申し込み作業は5分~10分ほどでできますので気軽に試してみてくださいね。

PAGETOP