賃貸で電力会社を切り替えられる?

電力自由化が始まっていることは知っていても、アパートなどの賃貸物件に住んでいるから切り替えはできないのでは?と思うかもしれません。

もし新電力に切り替えできるとしても大家さんや管理会社に言う必要はないの??など、わからないことも多いですよね。

ここでは賃貸と電力会社の切り替えについてわかりやすくお伝えします!


もくじ

賃貸でも電力会社の切り替えはできます!

基本的に賃貸でも電力会社の切り替えは可能ですが、唯一切り替えができないケースがあります。

それは住んでいる建物が「高圧一括受電」契約になっている場合です。

「高圧一括受電」になっていると切り替えできない

高圧一括受電は建物を1棟単位で電力会社と契約していることを指します。

電気の契約は大きく「低圧」と「高圧・特別高圧」に分けられていて、個人で契約する際は「低圧契約」になり、この場合は電力会社の切り替えが可能です。

高圧は多くの電気を使う事業者など商業ビルで契約することが多いのですが、賃貸でもエレベーターやエントランス、廊下などの照明に大量の電力が必要になる大規模マンションなどで高圧一括受電の契約をしていることがあるのです。

高圧一括受電の確認方法は?

建物が高圧一括受電かどうかを確認するための最も確実な方法は管理会社や大家に聞くことです。

でも、あまり聞きたくないという人もいますよね。

入居した際に自分自身で電力会社と契約した場合は高圧一括受電ではありません。

この場合は東京電力や関西電力などの地域の電力会社からあなた宛てに請求書が発行されているはずです。

高圧一括受電の場合は居住者と地域電力会社は直接契約をしていませんので、請求書は管理会社などを通して発行されることになります。

つまり、地域電力会社から自分宛てに請求が来ていれば高圧一括受電ではないので電力会社の切り替え可能ということになります。

なお、切り替え不可の可能性として高圧一括受電をご紹介しましたが、実際はよほど大規模のマンションでないと高圧一括受電になっていることはありません。

一応確認してみることをおすすめしますが、入居の際に自分で地域電力会社に契約の申し込みをした覚えがあれば切り替え可能と思っていて大丈夫です。

賃貸で電力会社を切り替える流れ

賃貸で電力会社を切り替える流れを確認していきましょう。

電力会社とプランを決める

まずは切り替えたい電力会社と電力プランを見つけましょう。

賃貸と言っても単身者、2人世帯、ファミリー世帯など電気を使う人の数や、電力使用量でお得になる電力会社が変わってきますので、自分の今の暮らしにあった電力会社を探す必要があります。

自分の暮らしにあった電力会社を見つけるためには、実際に使っている電力使用量を把握しておかなければいけません。

契約内容や電力使用量は検針表や請求書に書かれていますので確認してみて下さい。

また、検針表・請求書に記載がある「契約名義」「お客様番号(契約番号)」「供給地点番号」は新電力会社への申し込みに必要になりますので処分せずに残しておくと良いでしょう。

電力会社に申し込みをする

切り替える電力会社が決まったら申し込みをします。

申し込み方法はインターネット・電話などがありますが、便利なのは24時間いつでも自分の都合の良いタイミングで申し込みできるインターネットです。

必要事項に記入して送信すれば申し込み手続きは完了です。

解約の連絡はどうするの?

現在契約している地域電力会社の解約は、申し込みをした新電力会社が行ってくれます。

例えば東京電力を利用していて「 ENEOSでんき」に申し込みをした場合は、ENEOSでんきが東京電力の解約を行ってくれるので、あなたが解約手続きをする必要はありません。

自動的に東京電力から新電力会社に切り替わるので、あとは待っているだけでO Kです。

スマートメーターの切り替え工事が行われることがあります

電力メーターがスマートメーターに切り替わっていない場合、切り替え工事が行われることになります。

工事業者から電話がかかってきて切り替え工事についての案内があると思いますが、工事の際の立ち合いは不要です。切り替えにかかる費用もありません。

電力供給開始!

準備が整ったら新電力会社から電力供給が開始されます。

正確な供給開始日は新電力会社からハガキなどで通知がありますので確認して下さい。

なお、切り替え手続きが行われる間も電気が止まったりすることはありませんのでご安心ください。

賃貸の電力会社切り替えに注意点はある?

賃貸で電力会社を乗り換える場合に気をつけておきたいことをいくつかご紹介します。
いずれも申し込み前に把握しておきたいことばかりなので必ずご確認下さいね。

解約時の条件を確認しておくこと

契約条件を理解することは大切ですが、特に賃貸に住んでいて近々別の賃貸物件に引っ越すかもしれないという人はしっかり確認しておきましょう。

例えば、 ENEOSでんきの「にねんとく2割(とくとく割)」は、2年以上電気を使用することを約束して契約することで、毎月の電気代の割引を受けることができる仕組みになっています。

そのため指定の更新月以外のタイミングで解約すると、1,000円の解約手数料が発生してしまいます。

また、インターネット契約のセット割で申し込む場合、電気は無料で解約できてもインターネット回線の解約に数万円の違約金がかかることもあります。

多くの電力会社が初期費用・解約手数料・違約金無料で申し込みも解約もできるのですが、プランによっては別途費用が発生することもあるので必ず契約条件を確認しておきましょう。

契約できるアンペア数も確認しておきましょう

特に単身世帯で現在20A契約をしている人は要注意。

地域電力会社では20A以下の契約も可能ですが、新電力会社は30A以上を条件としていることもよくあります。

アンペア数が上がるデメリットは基本料金が上がってしまうことです。

<参考>東京電力の基本料金

契約アンペア 基本料金
10A 286円
15A 429円
20A 572円
30A 858円
40A 1,144円
50A 1,430円
60A 1,716円

 

電気代が安くならないこともあります

上記の契約アンペア数が上がると基本料金が上がるという点をもう少し詳しく考えてみましょう。

東京電力を例にしますが現在20A契約をしている人が30A契約に上げると、基本料金だけで年間3,232円上乗せされることになります。

希望の新電力会社の基本料金が東京電力と同じだった場合、20Aから30Aに上げても3,232円以上の割引があれば切り替える意味はありますが、ほとんどの電力会社は電気をたくさん使う世帯の割引率が上がるように設定をしています。

20A契約で不便がないということは電力使用量も少ないと考えられるので、電力会社を切り替えてもここまでの割引は見込めないかもしれませんし、返って高くなってしまうことも考えられます。

「電力会社を切り替えたけど思ったほど安くならなかった」ということにならないためには、現在の契約内容と電力使用量をしっかり把握して、内容に適している電力会社を見つけることがとても大切です。

賃貸の電力会社切り替えQ&A

賃貸の電力会社切り替えのよくある質問をQ&Aでまとめます。

電力会社の切り替えには電気料金以外のメリットもある?

電力会社を切り替えるメリットとしては、やはり電気代金が安くなるという点が大きいですが他にもメリットはあるんですよ。

ライフスタイルに合ったプランを選べる

新電力会社の多くは「電気とガスのセット」「電気とインターネット回線のセット」「電気とスマホのセット」など、さまざまなセット割を提供していて、セットで利用するとそれぞれが安くなったり、ポイントが貯まりやすくなるなどの大きな相乗効果があります。

今は電気代の高騰が止まらない時代なので、セット割を賢く利用したいところです。

また、年々注目度が高まっている「健康」をプラスできる電力プランもあります。

例えば「エバーグリーン」の「あるく・おとく・でんき」は、歩いた歩数、走った歩数によって電気代の割引があるという面白いサービスです。

たくさん歩けば電気代も安くなり健康へのアプローチにもなり一石二鳥!
節電意識も健康意識も高まるのではないでしょうか?

他にも「東急でんき」では、東急の定期券を利用している人が毎月55円〜110円安くなる特典もあります。

電力使用量に関係なく割引されるので、東急沿線の賃貸に一人暮らしをしている人もお得になります。

お住まいの地域活性化につながるような特色あるプランも豊富ですので幅広く探してみて下さいね。

環境を考えた電力プランも選べる

ネットニュースなどで環境問題が深刻である記事を読んだりしても、自分ひとりでできることってなんだろう?とわからなくなってしまう人の方が多いことと思います。

それに今は社会情勢を考えても、「環境を考えた行動を起こしたくても、まずは自分の生活で手一杯だよ!」という人の方が多いかもしれません。

新電力会社では環境に配慮した電力を供給している会社も増えています。

再生可能エネルギーを中心とした電源を調達したり、経営理念として持続可能な再生エネルギー社会への転換を目指すなど方針はさまざまですが、毎日使う電気が環境問題へのアプローチになると考えたらワクワクしながら電力会社を選べるのではないでしょうか?

環境問題はひとりひとりが考えていかなければならないことですが、電力会社の切り替えであれば無理なく始めることができます。

電力会社の切り替えに立ち合いは必要?

電力会社の切り替えにあたって立ち合いが必要になるケースはごくごく稀なので、基本的には立ち合い不要です。

「賃貸だけど電線の工事が行われるのでは?」と不安な方もいらっしゃるかもしれませんが、送電線は今までと同じ物を使うので電力会社を切り替えるために工事が行われることは基本的にないのです。

工事が行われるとしたらスマートメーターの設置工事になりますが、こちらも立ち合い不要で費用も無料になります。

立ち合いが必要になることがあるとしたら、建物がオートロックで解錠しなければスマートメーターの設置ができないような場合のみでしょう。

管理会社や大家さんに届ける必要はある?

電力会社を切り替えることを賃貸物件の管理会社や大家さんになんとなく言いたくないという時もありますよね。

でも、ご安心ください。電気の契約はあなたと電力会社の1対1の契約になるので、管理会社にも大家さんにも報告する義務はありません。

実際、私も賃貸物件に住んでいる時に東京電力から新電力会社に切り替えて、さらに別の新電力会社に切り替えましたが、いずれの場合も管理会社には伝えていませんし、管理会社から何か言われたこともありません。

すでに賃貸にお住まいの多くの人が電力会社の切り替えをやっています。安心して申し込みしてみて下さいね。

退去するときはどうすればいいの?

新電力会社に切り替えた建物から退去する場合も、特に管理会社や大家さんに電力会社についての報告は不要です。

契約している電力会社にだけ連絡をしましょう。

引っ越し先でも同じ電力会社を使う場合

引っ越し先でも同じ電力会社を引き続き利用する場合は、引っ越しが決まったら早めに連絡をしましょう。

引っ越し連絡は公式サイトやインターネットマイページ、電話で簡単に手続きができるようになっています。

引っ越し先では別の電力会社を使う場合

電力会社ごとに電気を供給しているエリアが異なりますので、エリア外に引っ越す場合は別の電力会社を探さないといけないことになります。

この場合は「解約」になりますので、解約希望であることを電力会社に伝えます。
公式サイトやインターネットマイページ、電話で連絡ができます。

ちなみに、引っ越しではなく同じ賃貸に住んでいる状態で別の電力会社に切り替える場合の解約は、新たに申し込みをした電力会社が解約手続きを行なってくれるので解約連絡は不要です。

切り替えた新電力会社が倒産したらどうなるの?

契約している新電力会社が倒産しても、特に困ったことにはなりません。

新たに契約する電力会社を選んで申し込みをすることになるのでちょっと手間はかかりますが、電気の供給が止まることはありません。

もし契約中の電力会社が電気の供給を停止することになったら必ずお知らせがあります。期日までに新たに利用したい電力会社を見つけましょう。

実際、2016年の電力自由化スタートからこの2022年までに、倒産したり電力事業から撤退している会社はたくさんあります。

これから先も選んだ会社をずーっと利用できるとは限りませんが、切り替え手続きは自分が利用したい電力会社にネットで申し込みをするだけなので、スマホやインターネット回線の乗り換えよりも実は手軽なんです。

電力会社倒産のリスクはあるもののそれは事業者のリスクであって利用者が背負うものではないので、この点について心配しなくて大丈夫です。

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